第20章 二十夜

｢リンはもういないんだ、そしてお前はまだ生きている。お前が生きているからこそ、鎖羅だってお前を想っている！｣

オビトは怪訝そうに眉根を寄せる。

｢夢を見て、望んだものを手に入れることの何が問題なんだ？お前が鎖羅で償おうとするよりも確実に心の穴が埋まる手段だと思わないか？カカシよ。｣

｢俺は鎖羅でリンの償いなんかしていない。ただナルト達と同じように、次世代の忍を育てているだけだ。
……オビト、一度空いた心の穴は、他の皆が埋めてくれるものなんだよ。だから妄想ばかりして逃げ続けるお前の穴は埋まる訳がないんだ。現実を見れていないのはお前だ……！｣

“他の皆”……その言葉を聞き、きっと以前の少年のオビトのままであったら脳裏には暁のメンバーが浮かんでいたであろう。しかし、オビトにとって彼らはただの駒に過ぎない。

────｢トビさん｣

ならどうして…………

どうして鎖羅が………

オビトはなにも答えなかった。口を引き結んだまま、雷光を帯びるカカシの右手を睨み続ける。

｢……かつてのお前の想いは捨てない。それを否定するのが今のお前でも。｣