第2章 二夜
「っあ………わたし」
「大丈夫か?」
イタチが身体を支え、お茶を飲ませる。
「これで貸し借りはチャラだぜ、鎖羅」
「サソリさん…ッ!よかった、術が完全に効いて……」
術?とイタチと鬼鮫は不思議そうに顔を見合わせる。無理もない、任務から帰ってきたら突然人間になっていたのだから。
「お前、ずいぶんと利他主義者なんだな……うん」
「えっと……話の流れがよく分からないのですが」
「旦那は我愛羅取り戻しに来た木の葉の奴らにやられたんだよ、うん」
ゴンと鈍い音がした。理不尽だぞ、とデイダラが呻く。
「それで?どうやって生き返ったんだ」
「里の禁術を使いました。あ、持ってきてくれたんですね」
鎖羅は傍らに置いてある巻物をリュックにしまう。どうやらやけに重いと思ったら筆記用具や数冊の本をいつも持ち歩いているようだ。
「いやはや……サソリさんも運が良かったですねェ」
「イチから改造し直しだぜ……」
以前のように幼くなく、年相応になった体つきは貫禄を醸し出している。心做しか身長も大きくなっているようだ。
「まあ、お前の過去についてわざわざ詮索するようなことはしないが……、この借りはいつか返そう。」
外套を羽織ると、サソリさんはそっぽを向いて行ってしまった。デイダラさんも生き返ってなんだかんだ嬉しいのか、ぱたぱたと後を追って自室へと向かっていった。