第19章 十九朝
「フン、消耗戦か。いつまで続くか……」
マダラの須佐能乎はそれぞれの一族が力を合わせて繰り出した忍術などものともせず、不全な状態ながらも確実にダメージを与えていく。たった1人に、数千人もの忍がぶつかっても傷一ついれられなかった。
「クソッ……これがうちはマダラ……!」
「……!」
突如マダラの攻撃が止む。
「何だ……?」
「油断するな、何かあるかもしれん」
輪廻眼がキョロキョロと動き回る。
皮膚を突き刺すような、それでいて身体の内側から何かが沸き立つほどの高揚感。
……間違いない。
穢土転生体と言えど、体に染み付いたこのチャクラの感覚……。
「柱間ァ……!!!」
マダラのチャクラが一気に殺気立つ。
それに呼応したのか、十尾は突然身体を仰け反らせて耳を塞いでも耐え難いほどの鳴き声を上げた。
「オオオオオオオオ!!!!」
「そ、空が!」
「鎖羅!衝撃波に────」
カカシの声の直後、鳴き声のエネルギーによって生じた竜巻が大地を駆けた。
(やはり、十尾を……!)
「狙ってたようだが、それは俺も同じだカカシ」
オビトは神威を発動させようとしたカカシの上空から降り立ち、右肩を掴む。
「え、っ」
「オビトやめろ!この子は……!」
オビトが片腕で鎖羅の髪を引っ掴んだのをカカシは引き剥がそうとする。しかし、神威に抗えるはずもなく、3人は時空間に飲み込まれていった。