第19章 十九朝
「鎖羅のチャクラが………」
天変地異が止んだ頃、小南とペインを包んでいた紙の盾は剥がれて散り散りになる。音だけでも凄まじかったが、十分にチャクラを練りこんだ紙たちも無惨な姿になってしまっていた。
「ああ……。消えた」
「チャクラ棒ですらも感知できないの?」
「媒介はチャクラだ、範囲は関係ないはずだ。考えられるのは結界の中に入ったか、感知出来ないような場所に連れ込まれたか……」
「あれはマダラの時空間忍術ですよ」
イタチの須佐能乎の中に逃げ込んだ鬼鮫は言う。
「いや、トビの方ですね」
「腕を切られたのなら、腕に残されたチャクラが写輪眼で見えるはずだ。だがそれすらも感じ取れない。確かに時空間忍術で間違いない。」
「口寄せよりも遥かに手強く、複雑な術ですよ。私も仕組みはよく分かりませんが、一度だけ術の瞬間を見たことがありましてねェ」
暁、そして連合軍を纏っていたオーラが消える。
「……俺達はこっちの戦況に集中しよう。」
ペイン達は十尾の眼前まで駆けた。自分たちが所有していた外道魔像の本来の姿がまさか十尾だとは知らなかった。巨大な体躯と強さを象徴する尾は、まさに世界の絶望を体現したようだ。
「大丈夫か」
「ペイン……。すまねぇ、悪ぃな」
「……あ、暁だ」
1人の忍が震えた声で叫ぶ。それに反応したナルトの周囲の、木の葉以外の連合軍は各々の得物を構えた。
「待ってくれ!こいつらは……!」
「いい、ナルト。そう思われても仕方が無いことを俺達はしてきたんだ。」
「でも……っ!」
メンバーが傷を抑えて膝をつくナルトの前に、壁のように立ちはだかった。連合軍は期待を裏切ったその行動にざわつく。サクラはナルトに医療忍術を施した。
「お前は平和を追い求めた俺達の希望、そして皆の希望でもあるんだ。お前が“ここ”にいないのが辛いのは、俺達も一緒だ。それに……」
────「ペイン!手を!」
「お前は、あの手で俺達も仲間だと伝えてくれた。かつては敵だった俺達でも、仲間だと思っていいんだと教えてくれたんだ。」
「へへ、そんなの決まってるだろ!ここにいる誰だって、みんな平和を望んでる!暁だってそれは同じなのは分かってんだ!」
「……ああ、やはりお前は希望に相応しい」