第2章 二夜
「鎖羅?!」
荒い呼吸に胸を抑えて倒れた鎖羅は、足を震わせ始めた。
「お前これ……俺の毒だ」
旦那が力無い手を持ち上げると、血に染った指先には確かに紫色の毒が染み込んでいた。先程噛んだ時に経口摂取したのが原因だろう。
「解毒薬がねえ。チッ……デイダラ、早急に帰るぞ」
旦那は鎖羅を軽々と持ち上げると鳥の上に飛び乗る。鎖羅の荷物をまとめて慌てて追いかけ、その場を去った。
「……夢は本当だったんだな」
「思えばオイラ達こいつの能力とか聞いてなかったよな、うん。当主とか言ってたけど……」
鎖羅には胃の内容物を全て吐かせたが、すでに毒が身体に回り始めている可能性が高い。全身回ってしまう前に解毒薬を早く飲ませねばならない。
辺りがすっかりと暗くなった頃、アジトに到着した。中ではイタチと鬼鮫が茶の間で寛いでいる。
「遅かったで………ど、どうしました?」
「鬼鮫、50度の湯を桶に入れろ。そうしたらこいつの手の毒を全て洗ってくれ」
「サソリさん、あなたその身体」
「説明は後だ、毒が回りきっちまう前に早くやれ」
床に鎖羅を寝かせる。呼吸は先程より明らかに浅くなってきていた。
手を洗ったお湯は血と毒の色でどんどんどす黒くなっていく。
サソリが解毒薬を静脈注射すると、青白かった顔色は血の気を取り戻してきた。