第19章 十九朝
穴の傍に立ったナルトの手に螺旋手裏剣が作られる。十尾は固めたものの、その体躯から想像される力はセメントなど破壊するに容易いだろう。
───『体術スキルのある忍はマダラにかかれ!オビトは術すり抜けられるのは5分間のみ、暁を主導に医療部隊と連携しつつ、攻撃の手を緩めるな!』
「……暁、集合だ」
ペインの言葉の直後、メンバー全員は瞬身で降り立った。くすんだ緋色、そして黒色の外套が風にたなびく。殺気立つその姿は、かつて忍界を震撼させたS級犯罪者の烙印に相応しいものだった。
───『ナルト、そう今こそ、お前の言う……』
「忍連合の術だってばよ!!」
「散!!!」
忍連合は一気に十尾の上に立つオビトとマダラに飛びかかった。連合は各々が得意とする術を浴びせようとする。
しかし、ついにセメントのヒビを打ち破った十尾の手が彼らを薙ぎ払った。
「ゲハハハァーー!!」
飛段は生え出す手を足蹴にしながらオビトへ距離を近づける。暁はその各々の強さに加えて、組織としての連携攻撃が強みだ。十尾が完全に起き上がるまでの間、絶え間なく攻撃を続ける。
三連鎌がオビトの体をすり抜けた。その背後から角都は触手で腕を伸ばし、オビトの腕を掴む。
「!」
その手をなぎ払おうとするが、上空から伸びる五体を繋ぐサソリのチャクラ糸と大腿までに巻きついたムカデ型の起爆粘土に気づいて動きが止まる。
「ダメだ、すり抜けられる!」
「鎖羅行け!!」
サソリと共にデイダラの鳥に乗った鎖羅は、全ての攻撃をすり抜けて反撃の姿勢を取ったオビトの背後めがけて飛び降りた。着地と共に、うちはの家紋丁度に片手の銃口を突きつけて発砲する。すり抜けるのが分かっているためそのまま体を倒し、オビトの前に出たところで後ろ手にもう一発発砲した。
「小癪な」
「ッあ!」
オビトは鎖羅の襟ぐりを掴んで引き寄せ、そして突き放すと同時に右頬を打ん殴る。飛んで行った体は突然起き上がった十尾に撥ねられた。