第19章 十九朝
それぞれ本部に伝えられた通り、暁のメンバーは散開して配置に着く。
───『まずは目くらましで動きを鈍らせ』
『雷遁!』
「雷遁・雷光柱!」
「嵐遁・励挫鎖荷素!」
雲隠れに合流した角都は身にまとっていた外套を剥ぎ取って背中を露出させる。ボコボコと波打つと仮面のひとつが盛り上がり勢いよく這い出た。
「雷遁・偽暗!」
雷遁、嵐遁、そして角都の偽暗が十尾の面前を明るく照らした。目を突き刺すような光に、オビトとマダラは視界を腕で覆う。
次いで嵐遁のレーザー、偽暗の槍は十尾の目をめがけて飛んでいく。
「なるほど……オレ達を狙いつつ、本当の狙いは十尾の目潰しか」
マダラは自身らに襲った二つの術を、輪廻眼の能力で吸収する。十尾の周りは雷の攻撃で生じた土煙が囲っていた。
『砂隠れの衆!今だ!』
「風遁・気流乱舞!」
油女一族が放った虫たちが、荒れる海のようにうねる風の中に散らばる。その小さなチャクラ達は、連合軍の忍達を困難にさせた。写輪眼ですらも見分けられないほどの多くのチャクラに、オビトは苛立ちを感じ、十尾の尾でなぎ払おうとするが、その隙もなく次の攻撃で足場が大きく揺れる。
「チィッ……石灰だ」
大地動核によって十尾がいる地面の地盤のみが大きく沈下した。そして決壊したダムの様に溶遁の石灰が流し込まれる。
『水遁、続け!』
霧隠れと共に待機した鎖羅と鬼鮫は、いのいちの指示を受けて印を結ぶ。
「水遁・水弾の術!」
「次は……火ですか。イタチさんの火遁は見ものですよ」
鬼鮫のその言葉通り、木の葉でうちはと同じく火遁の看板を背負った猿飛の術の中で、一際勢いが強く大きい炎が吹き出した。
「あれはうちはイタチ……!」
「すごい……!あんなにも猿飛一族が揃っているのに、1人であれだけの火遁とは……!」
感嘆の声を他所に、イタチは術を終えて穴を見下ろした。まるで隙がなく、完璧な作戦だ。狙い通りに十尾は固まった石灰により身動きが取れなくなる。