第19章 十九朝
「──────喝」
「!!」
降下物が風を切る音に、オビトは咄嗟に時空感忍術を発動させる。鎖羅を抱いていた腕が通り抜け、体が力なく落ちるが燕のように低空飛行で飛び去った小南に受け止められる。
爆発の煙の中から二人は煙で尾を描きながら空高く飛び立つ。デイダラの左目に嵌められたスコープは倍率を上げた。
「……なんだありゃ。あれがトビの中身なのか?」
「ええ。でもあいつは自分をうちはマダラだと名乗っていた。」
「マダラぁ?そうは見えねえな。うん」
腕に抱えられた鎖羅の首がガクンともたげた。小南は空中で停止したデイダラの鳥の上にゆっくりと鎖羅を寝かせる。
肩と脇腹から流れる血が止まらない。粘度のある肉が引きちぎられてぽっかりと穴が空いていた。
小南は自身のチャクラを込めた紙を傷口にあてがう。
「傷口を塞がないと」
「角都のところ行くか?それか丁度連合軍も到着したみたいだし、医療班にするか──」
衝撃が地面に走る。先程鎖羅を取り上げた場所にピントを合わせると、トビの隣には長髪で真紅の鎧を身にまとった男が立っていた。
「あれがマダラだな」
「デイダラ、鎖羅の呼吸が早くなっている。角都の所へ急ごう」
「了解だ」