第19章 十九朝
「ふざけんじゃねぇ……お前のその意味わかんねぇ野望の為に、鎖羅を利用したって言うのか?!こいつは、こいつはお前の捨て駒なんかじゃねぇんだぞ!!」
「いいや、鎖羅はオレの捨て駒だ。駒にしては丹精に育てすぎたかもしれんがな。」
「てめェ……!」
「もう、もういいです」
鎖羅はナルトの胸を押し返して起き上がる。そして数回咳き込むと、武器を持ち直した。
「ごめんなさい。戦場に私情を持ち込むべきではありませんでした。」
「フン……少しは成長したか?まあいい、最後にひとつ良いことを教えてやろう。あの夜の炎、忘れてないだろう」
鎖羅の脳裏に、里を襲った燃え盛る炎が揺らめく。今まで里が謀反によって潰えたなんてことは教えていないはずだ。
「先鋭部隊なんぞ名ばかりで、全員を写輪眼で操ることなど容易いものだったな。……そうだ、確かお前の父は里長のハズだ。最後の言葉、聞きたいか?」
空気が震える程の怒号が響いた。
オビトは先程までより酷く重く感じられる拳を受け止める。そして片手の手のひらから突き出たチャクラ棒を鎖羅に振るった。
「捨て駒……この表現ほどお前にピッタリなものは無い、鎖羅。あの禁術をお前の里の蔵書室で知った時から、オレは必ずや手に入れようと決めたのだ」
ずっと夢だと思ってた、あの記憶。
いつかの宿でみた、小さい私が若いトビさんを蔵書室へ案内する夢。
なんで……忘れていたんだろう。私が私の里を潰えるように仕向けた張本人だったんだ。