第18章 十八朝
猛進する3人とは裏腹に男は岩を伝って退いていく。すると宙に浮いた男の右目を中心に空間が渦巻いた。八尾はその広い体表から、吸い込みではないと感じ取る。
「入れる時に実態化するなら出す時も実態化するハズだ!今がチャンスだぜ!!」
「反撃できれば、の話だがな」
八尾の触手に黒い杭が突き刺さった。可視化したオーラは鎖を象って、体を次々と穿つ杭同士が繋がれていく。それと同時に、八尾は腹の内側の深い所がまるで押さえつけられているようなもど
かしさに襲われた。
「ナルトこっちへ来い!!こいつは尾獣の力をする呪印付きだ、触っちまったら大変なことになるぞ!」
「分かった!」
ナルトは素早く印を組み、影分身とは真逆方向に走り出して八尾の腹に潜り込む。そして手のひらを突き出してエネルギーを集中させた。
影分身は通常の螺旋丸を携えながら空中の岩を蹴り男と距離を縮めた。鎖羅はナルトが僅かに振り向いたのを確認し、声を上げる。
「カカシ先生!」
「神威!!」
正円のシルエットの螺旋丸が歪みだす。男は間合いにナルトが侵入する瞬間に杭を目から吐き出した。
やけに音が硬いと思えば、塵が晴れると杭は地面に突き刺さっているだけであった。
「なんだ影分身か……」
「カカシ!!」
「大丈夫ですか!!」
地面に頭から擦ったカカシを、揺らさないように支える。左目は酷く血走り、鮮血を垂らしていた。
「でも、これで……」
轟音が響く。ナルトの放った尾獣玉は男を飲み込むと黒色の球体を保ちながら閃光を放つ。