第18章 十八朝
「カカシ先生の言う通りになったってばよ!」
「…そうか、ナルトが螺旋丸を消したのでなく……」
男は破れた袖に力強く手をかける。
「カカシ……貴様が螺旋丸を神威で飛ばしたのか」
「思った通りだ……すり抜ける術と物を出し入れする2つの術を持っていると思ったがそうじゃない……お前の術はひとつだ!」
ブチブチと音を立てて袖が引き裂かれていく。男は苛立った様子で布切れを地面へ投げ捨てた。
「こいつの術が1つ?」
「ああ」
「やっぱり、カカシ先生が先程仰ったように、消した螺旋丸がすり抜け後に当たったってことは……」
「そうだ。面についた傷も、右肩の螺旋丸も、共通点はナルトの体が奴の体をすり抜けている最中に重なり接触していた部分であるということだ。」
3人は頭の中でカカシが述べたシーンを思い浮かべる。消した雷切のクナイはナルトの九尾チャクラが男の面をすり抜けていた時、そして消した螺旋丸はナルトが男の右肩をすり抜けていた時。
「そしてもうひとつ…どちらもオレが神威の術で時空間へ飛ばしたものだということだ……。つまり、このことから奴の時空間忍術は……
オレの神威の時空間と繋がっている!」
「!!」
「ちょっ…ちょっと待て!どういうことだ?なぜ奴とお前の瞳術が繋がっている?!」
「そ、それに!時空間忍術ってやつでクナイがカカシ先生の時空間に飛ばされたなら、アイツに当たるのだっておかしいってばよ!」
「そうだバカヤロー!時空間が共通していたとしてもだ、すり抜ける奴に攻撃を当てんのは無理だろコノヤロー!」
カカシは頭の中ですり抜ける、そして時空間という言葉を繋げる。
「…!その、すり抜けるという考えが間違いだったんだ」
「どういうことだってばよ?」
「あの時すり抜けていたお前の右腕は、奴の左頬だったな?つまり、接触した奴の体の部分は時空間へ移動しているだけだったのさ。すり抜けたと言うよりも、実体として時空感忍術で移動し存在していたとすれば、同時にオレが飛ばしたクナイが当たったのも説明がつく。」
「じゃあ、螺旋丸の時も?」
「ああ……」
謎が解っても、更に重々しい空気が流れた。