第18章 十八朝
ガイのヌンチャクの攻撃は容易にかわせるものではないのはひと目でわかる。だが男は先程からかわすような素振りは見せず、相手の隙が見えればすぐさま反撃をしていた。
つまりは、攻撃と防御を使い分けなければならないこちら側は、すり抜けにより防御のモーションを極限まで減らし攻撃に専念できる男とでは圧倒的不利であった。
死角から飛んできた団扇をガイは防ぐ。
その隙に、ナルトは九尾チャクラを伸ばし落下する男の体を受け止めるようにチャクラの中心に尾獣玉を作り出す。
「───神威!」
「!!」
遠方に大きく顎を開いた魔像が吸い込まれるように歪む。それに気づいた男は団扇を岩の隙間に噛ませ、尾獣玉をかわした。
「甘い」
吸い込まれそうになっていた魔像は急に元の形を取り戻した。ナルトは更にチャクラを伸ばし、尾獣玉をくらわそうとする。だが大きな爆発音と瓦礫と共に男は消えた。
決して小さいとは言えない岩が降り注ぐ。
鎖羅は素早く印を組み、身構えた。
「水遁、水断波!」
放出された水圧カッターが岩を切り細かくしていく。鎖羅は自分の体がその圧に負けないよう、膝をついて地面を掴んだ。
「鎖羅、ナイスだ!」
カカシは雷遁を纏ったクナイを握り、八尾に投げ飛ばしてもらう。岩の抵抗が無い分、カカシはまるでハヤブサのように男に突っ込んでいった。
男の左手は前方のナルトの胸元に沈む。
団扇を繋ぐ鎖がナルトの体を通り抜けた。
そして、カカシはクナイの切っ先を男のこめかみに向ける。
「……!」
全ての攻撃が当たらなかった。
カカシは素早く体をひねり、後ろ手にクナイを投げる。
しかし、男はそのクナイを蹴ったナルトに方向を変えた。
「神威!!」
クナイが吸い込まれていく。
それと同時に、ナルトのチャクラの拳は男の仮面を通り抜けた。
「くそ!」
男は岩を飛び越える。
カカシとガイは見逃さなかった。
振り返った男の仮面の左頬に、亀裂が走ったのを。