第18章 十八朝
「………振り向くな」
鋭く冷たい温度を首元に感じる。
両手首は強い力で握りしめられ、手のひらがカッと熱くなってうっ血しているのが分かる。
視界が歪んだ。
再度身体が浮遊感に包まれた。
次第に景色が見えてきたと思えば、頭が眩むほどの高さに吊し上げられていた。
耳元で金属が擦れ合う音がする。
ハッ、と足元に目をやれば、先程まで立っていた白い地面は無くなりぶらりと宙に放り出されている。
ギリギリと首を締め付けられ、思わず顔を顰めた。
「鎖羅…?!」
「いま、急に出てきたよな?!」
カカシさんとナルトくんの声だ。
ナルトくんは今前線で“謎の男”と戦っていたはず。そして自分はここを目指して走っていた。
「余興ぐらいにはなるだろう」
「ッ、あ……」
後頭部を踏みつけられ、反動で更に首が締まる。
鉄の隙間に指をねじ込むようにしてなんとか息をしようとするが、更に頭を押さえつけられる。
鎖のような繋ぎ目が首の皮を巻き込んで血を流す。
「ナルト!」
「分かってるってばよ!」
ナルトは印を組み分身体を作る。
本体が右手を開きながら走り出すと、超音波のような音と共にエネルギーが手のひらに集まりだした。
「ビーさん!オレを高く持ち上げてください!」
八尾は手のひらを高く掲げる。
カカシが目を見開き、ガイがヌンチャクを身体に巻き付けると、ナルトは跳躍し謎の男に飛びかかった。
鎖羅の頭は自由になる。しかし、首の締めつけは止まらずグン、と上に引き上げられた。
「………あ」
意識を失う。
突っ込んで行ったナルトの体は謎の男をすり抜けた。
そして掴んでいた瓢箪型の忍具を手放すと、鎖羅の首に巻きついていた鎖も外れ空中に放り出された。