• テキストサイズ

邯鄲の夢【NARUTO】

第2章 二夜



多くの人間の体を使って作られた人傀儡の中でも、一際肌が白くひとつも朽ちていないものを探す。15歳の時の体のままだ、きっとすぐわかる。

「デイダラさんって、サソリさんのこと認めてるんですね」

「……オイラが?そんなわけねぇだろ、旦那とは芸術に関しては一生分かり合えなかったよ」

「でも、あのとき引き返さなかったじゃないですか」

見つけた身体の部品を元通りに並べていく。小さな破片も余さず、全て。

「そりゃ、サソリの旦那はなんだかんだで強いからな。永遠を愛すあまり自分すらも永遠になっちまった芸術家だ。うん」

オイラもそんなふうに自分の信念を貫きてぇな、と続ける。

「……私、一族の当主で、生まれた時からずっと里の中では大切に育てられてきました。一種の神格化、と言ってもいいですね」

鎖羅は旦那の首を外して持ってくる。
薄茶の目は虚ろに据わっていた。

「対等な関係で腹を割って絆を結んだ相手は誰もいませんでした。
……だから、デイダラさんとサソリさんみたいな信頼関係は私にとって未知の存在で、凄い…キレイだなって思ったんです。」

サソリの旦那の体がだんだんと出来上がっていく。

「……ツーマンセルで、オイラがガキの頃から一緒に組んでる。確かにお互い心の中のどこかでは認めあってたかもしんねぇけど、オイラ……旦那の事何も知らねぇよ」

「良いライバル、って事じゃないですか?芸術家としてお互いの手の内は明かさない……」

初めて見る旦那の仕込みに触れる。自分の体を傀儡にしちまったとは聞いていたが、どんな構造だとかはよく分からない。
……ライバル、か。

「オイラ達が暁の中で一番仲悪かったっけな……うん」

今こうやって思い出せるのは下らない言い合いや喧嘩ばかりだ。でもそれが心地よかった。他のメンバー達みたいに仲が良くなくたっていい。一瞬の良さが分からなくなって、永遠の良さが分からなくたっていい。
だってオイラ達は芸術家で、互いにぶつかり合って切磋琢磨して、刺激を与え合う関係なんだから。



/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp