第17章 十七朝
「ど、どうして、鬼鮫さん……?!」
「そうですね……一度は裏切りましたが、私の方が最初から裏切られていたようでして」
困ったように口角を上げた鬼鮫さんの表情に理解ができないままでいると、藤色の輪廻眼が暗闇の中で鈍く光った。
「この戦争は平和の為の戦争だ。その戦争にこうして俺たちが集められたのも、何かの因果だろう。そして……今度こそ正しい平和の為に戦える時だ。」
張り詰めた空気が流れる。鎖羅はメンバーが殺気立っているのを感じる。全員が戦いを思い、奮い立っていた。
「さあ……行くぞ。心に意志を抱け。平和を望め。我ら暁こそ、この世界の夜明けの操舵なのだ。」
リーダーが背を向け、跳躍した。
それを追うように一人ひとり木の枝へと飛び乗っていく。
その背中に、鎖羅は木の葉襲撃作戦を思い出していた。真の平和を見つけるために心をひとつにして戦ったあの時。もう一度、こうして仲間たちと並ぶことが出来たのだ。
明けない夜はない。たとえ何者が夜明けを拒もうとも、暁がある限り陽はまた昇る。