第17章 十七朝
『本部より伝達……!』
雨足が強くなり、視界も悪くなってきた頃頭の中に声が響き渡る。
『増援ポイントにて状況優勢!つまり、うずまきナルトが踏ん張ってくれてる!!』
(ナルトくん……!)
『オレたち連合が守るべきナルトが、ビー殿が!前線で強い想いを持って戦ってくれてる!!カカシもガイも同じくだ!!
…そして、連合の皆もその強い想いに加わってくれ!!その皆の強い想いが……この戦争への、勝利への予言だ!!』
暁は森を出、地を踏みしめる。
鎖羅は心臓から伝わる脈動が、己を高めていくのを感じた。
それと同時に、もうひとつの目標へと近づいているような感覚を得る。
謎の男……ナルトくん達と対峙しているということはこの戦争の最大の敵ということは間違いない。
つまりはトビさんか蛇の男か、それ以外か……
誰だとしても、この戦場を駆けるということはいつかは必ず対面する。
その時私は何を思うのか。
考えただけで緊張する。……怖い。行先の不安に、体がすくんでしまう。
「おい、大丈夫か」
「すみません、デイダラさん。大丈夫です」
「……なんかお前、目付き変わったな」
「デイダラさんこそ!」
黒ずんだ白目の碧眼が大きく見開かれる。
満足そうな笑みを浮かべたかと思えば、背中を強く叩いて行ってしまった。
そうだ。怖がる必要なんてないんだ。
デイダラさんに叩かれた背中はじんじんと痛むが、もう体の竦みはとまっていた。