第17章 十七朝
「伝令します!本部から増援要請、九尾と八尾が現在各人柱力穢土転生体、及び謎の男と交戦中!戦況が落ち着き次第増援に向かえとのことです!」
「わかりました。今から向かいます。」
「鎖羅!こっちも伝令を聞いた、負傷が酷いメンバーは全員治療室へ送り済みだ」
「ハシバミさん」
人数は少なくなっているが、十分だろう。
伝令班から聞いた地点を目指そうと支度を始めると、イタチさんが肩を掴んだ。
「待て鎖羅、用がある。部隊を副隊長に任せることは出来るか」
腰のホルスターを締める手を止め、ハシバミさんと目を合わせる。
「俺は大丈夫だ。」
「すみません、お願いします。新しい仲間もいますし、何かあってもきっと大丈夫ですよ。」
ハシバミを先頭に部隊は動き出した。
砂浜にイタチと小南、鎖羅が残される。
「えっと……用って?」
「着いてきてくれ。」
イタチは走り出す。何も分からないまま着いていけば、空がすっかり暗くなって来た頃森へ着いた。
森は明るい時とはまた違う表情を見せている。戦争の雰囲気と相まって少し体を竦ませながら2人の後に従った。
「ハァーマジでおっせー!やーっと終わったのかよ」
聞き馴染みのある声が溌剌と響いた。
バサバサと鳥が飛び立つ羽音がする。
どこから発せられたのかと上空を見渡す。
すると、辺りの木の枝にまばらに人影が立っているのに気づいた。
「え……?!」
「よぉ、久方ぶりだな」
次々にその影は降り、臙脂色の外套を身にまとった“元”暁メンバーが顔を合わせた。
その中には、あの時トビさんに着いて行ったはずの鬼鮫さんもいる。