第17章 十七朝
「久しいな。なんだか大人びたんじゃないか?」
「イタチ。皆はもう…」
「ああ。」
そして最後の治療が終わったころ、イタチは鎖羅に奈良一族の忍を呼ぶよう頼み、到着次第里長ら穢土転生体を影縛りで縛り付けた。
身体を纏っていた紙が舞う。意識は縛り付けられていないようだ。
「────これまで説明した通り、穢土転生体は術者から縛られ操作されてしまう。それを断ち切るために今から契約解除の印を結ばせる。」
「契約解除……?」
「それさえ出来れば、穢土転生体は自分の意思で動くことが出来る。」
イタチが合図を出すと、影縛りの術を使う忍は伝えられた印を結んだ。
ゆっくりと影が滑らかに地面を這い引いていく。
「……動ける」
ウズメが呟いた。痺れがとれたような感覚に4人は暫く立ち尽くす。
縛りのなくなった穢土転生体に向かうように、鎖羅達を除く忍達は険しい顔を浮かべていた。無理もない。縛られていたとしても、仲間を殺した敵には変わらないのだ。
一歩、当主が歩む。
柄に力が込められ、刀が揺れる音がした。
砂浜に膝をついた。彼女の一挙手一投足に場は張りつめていく。
「誠に、申し訳ありません……」
「!!」
当主は優雅な動きで頭を垂れ、額を地に近づけた。