第17章 十七朝
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身体を貫く冷たい刃に耐えた瞼をゆっくりと開く。
生きている。背中に痛みはない。
這いずって刀の下から抜け出し、ウズメの方を振り向くと身体中が真っ白な正方形の紙に覆われていた。硬直した筋肉がプルプルと震えている。
「は……ぁ」
纏っていた紙は一気に空中へと羽ばたき、一方へと向かっていく。支えを無くしたウズメはガシャン、と刀を落とし膝をついた。
「危なかったわね」
鎖羅が顔を上げると、黒ずんだ蜜柑色の瞳が見下ろしていた。背中に紙で象られた翼が生え、最早本物の天使へとなったように見える。
「あ……!!」
「久しぶり。何だか見違えたような気がするな。」
翼は散り、小南の体へと融合していく。
ゆっくりと地面に降り立つと、舞っていた紙が小南の結わった髪の上でくるくると円を描きながら纏まりバラのコサージュとなった。
「知り合いかしら……?」
「お、お母さん、この人は……」
「危ない!!」
男の声が響く。立ち上がろうとした鎖羅目掛け、ゼツは大きく身体を開いて飛びかかってきた。
(間に合わない……!)
小南の身体は紙へと姿を変えるが、ゼツの棘はもう鎖羅の鼻先まで迫っている。しかし、瞬きもしないうちにゼツは海へ吹き飛ばされた。
黄金が走る。
「大丈夫か?!」
「ナ、ナルトくん……!」
「ナルト……!」
砂が舞う。着地したナルトはすぐさま身体を方向転換しゼツの軍勢へと駆けて行った。
「話は後です、私達もナルトくんに!」
鎖羅は銃を持ち、ナルトを追いかけた。
小南や忍もその後に続く。