第17章 十七朝
「………っ」
突如デイダラの動きが止まる。
鎖羅は息を切らし、鼻筋を流れた汗を拭いながら様子を伺う。
デイダラの白目がじんわりと黒ずんでいくと、碧い瞳は真っ白に変わった。
そして踵を返し、軽快に走り去っていく。
「医療班!」
後方から駆けてきた医療忍者が特に重傷の構成員を治療していく。
鎖羅も例に漏れず、肩から腕にかけての火傷を癒してもらった。
「どういう、ことだ?」
「また縛られたんだと思います」
鎖羅は周囲を見渡す。
デイダラ一人に、これだけの人数の忍がやられてしまった。向こうがいったいどれほどの戦力を有しているのか分からない。考えたくないことだが、万が一、今後メンバー達と戦うことになるなら……
「伝令します。西の海岸線にて救助要請がかかりました。」
「海岸線?ゼツさんだけの筈ですが」
「それが……、我々も知り得ない穢土転生体が突如現れたのです。既に部隊は壊滅寸前、至急向かって欲しいとの事です。」
「分かりました。」
鎖羅は立ち上がり、後方の忍へ向けて声を張り上げる。
「まだ戦える者は私に着いてきてください!少しでも怪我を負った者はハシバミさんのところへ!」
「鎖羅」
「何かあったら伝令の忍をお願いします。ご武運を。」
「ああ」
鎖羅が走り出すと、忍がぞろぞろと続いた。およそ50名。未知数の敵にどれだけやれるだろうか。