第2章 二夜
カラスが鳴く。
けたたましいその声に目を覚ませば、すでに空は赤くなっていた。
……まずい、寝ちまったか。
「おい」
口を塞がれたままの鎖羅も眠っていた。
いい加減いいだろ、と旦那が戦っていた方向へと飛んでいく。まずいな、先にアジトに帰ってるかもしんねえ、そしたら怒られるかもな……うん。
鎖羅の口を塞いでいる粘土を剥がす。
「ん、は……っ」
「旦那んとこ見に行くぞ。」
しばらく飛んでいると、地面にぽっかりクレーターが出来ている場所を発見する。ゆっくりと降り立つと、瓦礫と共におびただしい数の傀儡の部品と体が散らばっていた。
(もう終わったか……)
瓦礫がテトラポットのように入り組んだ所を落ちないように飛び越えていく。どこを見渡してもあの女達の死体は見つからない。
「あっ」
鎖羅が一目散に走っていく。
その先には赤髪がふわふわと揺れていた。
「だ、んな」
男女の傀儡に寄り添られる様に、胸を貫かれて赤黒いシミが出来ていた。ごろりと引っくり返すと、目を見開いたまま絶命している。