第2章 二夜
「ッ!!!」
「ちょうど起きたか……行くぞ」
ヒルコの声がする。
額を触ると嫌な汗をかいていた。身体中に砂鉄で削られた痛みが残っている。
「サ、サソリさん、だめです、デイダラさん、サソリさんを連れて早く逃げてください!」
「……あ?なんだテメェ急に寝て起きたと思ったら」
「このままじゃサソリさんが死んじゃう!とにかく私に任せて、ここから出たらすぐに飛んで!」
一生懸命説明をするが二人は顔を見合わせて不思議そうな顔をするだけだった。
瞬間、出入口の岩が壊される。
「よし、やっぱりここね」
瓦礫を跨いで入ってきたのは、夢で見たチヨバアと恐らく移入していた少女だ。デイダラさんは私の腕を掴んで鳥の上に飛び乗る。
「そ、そんな!デイダラさん!サソリさんがっ!」
「生身のオイラ達はまともに戦えるコンディションじゃねえんだよ!ここは旦那に任せてオイラ達は先に帰るぞ!」
「ああ……そうしてくれ。オレも懐かしい相手と話がしたい……」
ひゅう、と空いた風穴の上から飛び立つ。たちまち洞窟は見えなくなっていった。
「あーあ、我愛羅返すの今度になっちまったなあ」
「デイダラさん戻ってください!!サソリさんが死んじゃうかもしれないんですよ!!」
「……なぁ鎖羅、オイラ達は何人も殺してきた。だからそのオイラ達が死を怖がってちゃいけねぇんだよ、そりゃあクールじゃねえ」
「で、でも、私の夢は絶対なんです……!」
デイダラは金の髪をなびかせてこちらを振り向く。
「夢?お前よぉ、ガキじゃねんだからそんなん信じんなよ……いや、ガキか?ハハハ!!」
「ッッ、ふざけないでください!!」
「……うるせえなァ、旦那がやられる訳ねえだろ」
デイダラが放った蜘蛛型の粘土が口を覆う。
「少ししたら様子見に行ってやるよ、それまで一言も喋るんじゃねぇぞ。うん……話したらそいつがボカン!だからなぁ」
ケタケタと笑い、鳥は空中で旋回を始める。デイダラは黙々と創作活動に勤しんでいた。