第17章 十七朝
視界が晴れていくと、焦げた匂いが鼻をくすぐり始めた。
どうやらあの白い物体はひとつではなかったらしい。鎖羅が見たのは、引き金となった最初の爆発で、予め設置しておいた同様のものが連鎖的に爆発したようだ。
ごうごうと燃える木々と炎に阻まれ、後方の部隊は行く手を阻まれる。
「どうする、鎖羅」
「大丈夫です。」
鎖羅は木陰から僅かに体を出し、当たりを確認して素早く印を結ぶ。
「水遁、随身取水の術!」
柱状の水が勢いよく木々へ飛び込んでいった。
蒸気を発生させながら炎は威力を弱めていく。
焦げて炭の様になった跡を飛び越えながら、後方部隊は合流した。
「おうおう!随分と成長したじゃねーか!うん!」
「!!!」
眼前に降り立った人型を捉える間もなく、飛んできた拳に反射で身を翻す。
くすんだ緋色の外套がはためく。その人型は瞬時に後ろへ飛び退いた。
「デ、デイダラさん…!!」
肌色も悪く、目も黒ずんでいるが、忘れることは無い。間違いなくデイダラさんだ。
鎖羅は沸き立つ疑問の中に若干の嬉しさを感じるが、慌ててかき消した。
「あ、暁だ…!」
「なんでだ、死んだはずだぞ!」
「そうです、ど、どうして、デイダラさんが……?」
鎖羅がそう問いかけ、デイダラか口を開こうとするとまるで錆びた機械のように身体を強ばらせた。そして困った様な表情を浮かべながら、手のひらの口をぐぱりと開かせる。
「カブトも性格の悪ぃ奴だな……おい鎖羅、今から聞かれたこと答えてやっから、ちゃんとついてこいよ」
開いた口から小さな造形物が飛んでいく。デイダラが印を結ぶとそれはたちまち大きくなり、無数の小さなC1が大きくなったドラゴンの口の中へ入り込み、飛び立って行った。