第17章 十七朝
異変を察知した動物たちは一斉に森から逃げ出す。
群をなした鳥は青空を黒く覆い、羽音は風を切っていく忍達を鼓舞した。
──────────……
「…鎖羅、と言ったか」
「は、はい!」
感知部隊隊長を務める水影の側近、青が鎖羅を呼ぶ。
「噂には聞いている。だが今は暁であった事など関係なく、忍連合の一員だ。是非対等に意見を願いたい。」
鎖羅は唇を噛み締め、初の戦場の緊張感を身にひしひしと感じた。
「御託はここまでにして、新“暁”の編成を聞こうか。」
「はい…まず、構成員全員が傭兵であるため、戦力は十分です。加えて忍連合の半数強と同等の人数であることから、戦闘大連隊の五部隊毎に多数の人員を配置しました。」
本部中心の感知水球の表面が波打つ。部隊がそれぞれ作戦通りの配置へ向かい始めたようだ。
「さらに、私を部隊長とした“暁”の数百名で戦場を臨機応変に立ち回ります。」
「承知した。感知タイプの忍を配置する必要はあるか?」
「いえ。副隊長が感知タイプですので。」
言い終わるか否かの時、水球が大きく揺れ始める。
「動いたぞ!かなりの人数だ!!」
──────────……
その後、先に動いていたハシバミ達と合流した鎖羅は青に伝えられた地点目指して森の中を走り抜けていた。この先に来る敵がどんな敵かも分からない。頭に蔓延るのは、不安。ただそれだけだった。
「前方から敵確認。大きいぞ、気をつけ──」
ヒュン、と部隊の横を何かが通り抜けて行った。
鎖羅は視界の隅で捉えていたその白い物体が、びたりと木の幹に張り付くのを見逃さなかった。
「止まれ!!」
森に轟音が鳴り響く。鎖羅は急いで地上へ降り立ち、木陰に身体を隠しながら土埃が舞う後方へ目を凝らした。