第17章 十七朝
仄暗いアジトの中、カブトは術を出し終えて満足そうに立ち上がった。
地面にはいくつもの棺の扉が転がっている。
ぼうっと意識のない人型が、しかしどこか殺気を漂わせる者達が並んでいる。
「まずは……“暁”のメンバー、そして元人柱力達、さらに元五影前任者達……そして……その他もろもろ名のあった手練達……」
カブトの隣に佇む、頭をすっぽりと覆った輪廻の面の男。彼の袖から棒の伸びた鎖が揺れると、カブトは再度また印を組み始めた。
「……これで充分だったはずだが?」
「君に特別なサプライズさ。そう、君にね」
カブトは地面に手を当て術式を展開させる。
地中から現れた棺が開かれると、仮面の男は背後に背負った瓢箪型の武器に手を回した。
「こ、これは…!!」
「とっておきの戦力さ……、これで戦争も少しは楽しくなるだろう?」
「お前、いったいどこで…!」
「それは君がイチバン分かってるはずだろう?」
銀縁のメガネがフードの中で怪しく光る。
仮面の男は数秒考え込んだ後、まるで何も無かったかのように身を翻した。
「まあいい……、ずっとこの時を待っていたんだ。今更突き詰める必要も無い。」
空気が僅かに揺れる。
仮面の男とカブトは共にアジトの外へ歩みを進めた。
「行くぞ……開戦だ!」