第17章 十七朝
「第四次忍界大戦開幕にあたり火の国木の葉の里の首長、火影より、忍連合軍への徴集要請を伝令します。」
「連合軍へ加担しろ、ってことか…?」
「はい。」
急激に力をつけている傭兵達を戦時中に対処する暇などない。それならば味方につけてしまおうと考えを打ち出したのは鎖羅自身であった。
それはかつてのトラウマに打ち勝つため。そして、平和を勝ち取るためにもう一度“暁”を編成し、託されたペインや仲間達の遺志を継ぐためだった。
「是非は問いません。この光景を見れば…どうすべきかは分かっているはずです。」
「……ッ」
男は手放した忍刀を持ち上げた。
鎖羅は男がどう動くか気を張りながら、外套の中で静かに武器に手をかける。
しかし、男は刀の切っ先を片方の掌に寝かせてゆっくりと引いた。ぷち、と皮膚を切り、鮮血が滲んで流れ出す。
そして地面へ置いた伝令状に手を置き、真一文字に血の跡をつけた。
「……俺の仲間達を、お前に預ける」
「…ありがとうございます。」
鎖羅は外套を払い、男へ歩み寄って手を差し伸べた。
男は鎖羅の手を握る。
生暖かい血が二人を繋いだ。