第17章 十七朝
鎖羅は足を止め、地面に飛び降りた。
森の木々に隠されるように、人が一人通れるくらいの扉が地面に埋め込まれていた。
そっと手を当て、数回砂を払うように撫でる。
そして、印を組む。
結界はたちどころに消え、扉はいとも容易く持ち上げられるようになった。
「……!」
「誰だ!!」
落ちた先には、地下とは思えないほどの大広間が見える。そこには数えるのも億劫なくらいの忍が集まっていた。
皆、額当てには傷がある。
突如降りてきた外套に身を包んだ不審者に、忍たちは各々武器を抜いて構えた。
鎖羅は外套を腰まで払い、武器を抜く。
それを合図に、一斉に雄叫びが上がった。
鎖羅は外套の裾を掴み、まず最初の敵の目に叩きつける。一瞬足を止めた隙に、体を回転させながらこめかみに回し蹴りを食らわせる。
大きな図体の忍が倒れた。
まだまだ終わっちゃいない。
倒れた忍の体を踏みつけ、急突進する。
右から正拳突きが飛んできた。
右腕で受け、引き抜いた武器の先端を鳩尾へ差し込む。
えづきながら鎖羅の肩へのしかかったが、その体重を利用して左側の敵へ流れるように投げ飛ばす。
四方八方から飛んでくる拳やら刀やらの攻撃を、鎖羅は身軽に立ち回りながらかわす。それでいて、反撃も欠かさない。鎖羅の大きく振った右腕の細さに驚きながら、一人の忍は意識を失った。
10分程もすれば、波のように鎖羅へ襲いかかった忍たちはほぼ地へ伏せっていて、腰を抜かした一人の女だけが壁際へと後ずさっている。