第17章 十七朝
白んだ空の中、冷たい風が里を駆け抜ける。
眠った風景は普段の活気のある姿とは対照的で、木の葉の里は様々な表情を見せてくれた。
鎖羅は手に持った外套を広げる。
暁を象徴した外套と同じ藍墨茶色。鎖羅はそれを肩の方へ回して身に纏った。
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「本当にひとりで大丈夫なのか」
「…ええ。精神訓練もとうに全てクリアしました。この任務は、私にとって修了試験のようなものだと感じていますから。」
鎖羅は綱手から差し出された巻物を受け取る。
「そこに集会場の地図が記されている。早朝の出にはなるが、道中気をつけるんだぞ」
「はい。色々お世話になりました、火影様」
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カカシとの集中的な修行を経て、体つきも変わり鎖羅は忍として十分な基礎を身につけた。
そして、遂に連合会議、後の結団式の日程が知らされた。
最後の準備として、綱手は暁に変わる傭兵編成へと踏み切ったのだ。
木の枝を伝って、森を駆け抜ける。
段々と体が温まって鼓動が早くなっていく。だが、それは走っている所為だけでは無い。
今から、事前にリークしていた傭兵集団の集会場へ単独奇襲をかける。
かつて、鎖羅の身体だけでなく心でさえも蹂躙し、深い深い傷を負わせたあの男たちの元へ。