第16章 亭午
「鎖羅さんにも、ライバルは居ますか?」
「ライバル……」
考えてもみなかった。
思えば里でも同い年の友人なんて居なかったし、手合わせをしていたウズメだって年が離れていたから、どちらかと言うと先生のような感じだ。
暁の皆だって、ライバルだなんておこがましいくらい。全員大切な仲間には違いないけど、仕事仲間だったり、先輩だったり。そんな存在だ。
「いない、ですね」
「じゃあ!今日から僕とライバルになりましょう!同じ体質のもの同士、同じ努力を愛するもの同士だからこそです!」
シュビ、と親指を立てて白い歯を覗かせる。
サソリさんとデイダラさんとは違ったこんな形のライバルもあるんだな、と思いながら、笑い返して拳を突き合わせた。
「そうと決まれば!この遊歩道の終わりまで片手逆立ち競走です!」
リーは地面に手を着くと、ひょいと体を上へ向けてとんとんと進んで行ってしまう。鎖羅も慌ててそれに倣うが、到底リーのようにはいかなかった。
「ちょっとお!待ってよ二人ともー!」
結果は当然、リーの勝利だった。
パンパンになって重たい右腕をさすりながら、二人と別れて鎖羅は家へと帰っていく。