第16章 亭午
ヒナタさんの型が終わったと思えば、次はネジさんが構えをとった。
ヒナタさんとはガラリと変わって、全てにおいて非の打ち所がない。
「やっぱりネジはすごいです…」
「天才なのよ、ネジは」
「見ただけで分かりますね、本当に…」
型が終わった瞬間、ネジさんの目がギロリとこちらへ向けられる。
慌てて身を隠し、日向邸を後にした。
高かった太陽もだんだんと沈みかけ、オレンジの増した遊歩道を三人は歩いていく。
「鎖羅さんは得意な忍術ってあるの?」
「私、あんまりチャクラコントロールに秀でてなくて……だから故郷の里でもずっと体術ばかり練習してました」
「へえ…!リーと似たような感じなのね」
「似てる?」
「お恥ずかしながら、僕はチャクラを持ってないんです」
太い眉毛をやや下げながらリーさんははにかむ。だが、直ぐにキリッとした表情に変わった。
「でも!こんな僕でも努力すれば天才に勝てるって証明したいんです!そのためには足を止めているヒマなんてありません!」
「いつもこんな調子でね、天才に勝つんだー、って言ってネジに勝負を申し込んでるの。1回も勝てたことは無いけどね」
「テンテン!笑っていられるのは今のうちです!いつか僕も、ナルトくんやネジをギャフンと言わせるくらいになってやります!」
そう意気込むリーさんの瞳の熱さはまさに炎が揺らめいているようだ。その様子を呆れて見つめているテンテンさんの微笑みにもどこか温かさがある。