第16章 亭午
「この痛みこそ!青春のだいご……あれ、あなたは?」
「まったくも〜!本当にすみません!」
階段から掛けてきた、お団子を2つに結わった少女はやや乱暴に緑色の全身タイツの少年を立ち上がらせる。
「待ってくださいテンテン、この方が鎖羅さんではないですか?」
「あっ、…そうです、初めまして」
「ああ!最近カカシ先生と修行してる!初めまして、わたしテンテン!」
「ロック・リーです!」
テンテンと名乗る少女は、大きな瞳をぱちくりとさせて鎖羅の腰をじぃっ、と見つめる。
そして、声を潜めて耳元で話しかけた。
「あの、もし良かったらでいいんだけど、その珍しそ〜うな忍具、ちょっと見てもいいかな…?」
「え、あ、いいですよ全然」
腰から取り出した武器をテンテンにひょいと渡す。すると、やや慌てて取り出した布で仰々しそうに包み、目をきらきらとさせて穴を覗いたりしている。
「すみません、テンテンは珍しい忍具に目がないんです…」
「すっごい…これ。こんなにほっそい銃身なのに、中にかなり緻密な仕掛けがしてあるわ…」
「銃身?」
「ええ。この形の忍具って銃って言うのよ。全然出回ってないの。とにかく仕組みが難しすぎて量産できないし、私も見たのは初めてだわ。」
長く使い込んできたが初めて正式名称を知り、鎖羅は口の中で呟いてみる。サソリさんはその事を知っていて、武器として充分に使えるほどのカラクリを組んだのか。だとしたら、やはり天才傀儡師の名に相応しいはずだ。
「作ってもらったの?陶器っぽくて、人の手で焼き上げたみたいだわ」
「はい。内部のカラクリも、銃身?も、全部仲間に」
「本当にすごい…暁にこんな天才がいたとは…」
二人が褒められ、鎖羅は若干誇らしげに微笑む。銃を受け取り、テンテンは満足そうに布をしまった。