第16章 亭午
「じゃ、今日はここまで」
「ッ、はぁぁぁー………」
カカシの声とともに鎖羅は地面に倒れる。
もう幾度となくこの修行をこなしてきたが、慣れるばかりか更に辛さがあがっていくので鎖羅の体には疲労が溜まっていた。
「早めに終わらせたから、帰り里でも散策してくれば?」
「ちょっと、休んでから、行きます」
「ハハハ。気をつけてね」
瞬身の術でカカシは去っていく。鎖羅は暫く骨の痛みが治るのを待った後、よろよろと起き上がって里の市街地へと歩いていった。
時刻は昼過ぎ。人通りのピークもだんだんと落ち着き、仕事場へ戻っていく住民たちばかりだった。
顔岩の方向へ真っ直ぐ歩き、階段を昇っていく。中腹にある広場にたどり着くと、里を一望できるベンチに座った。
やはりこうして見ると、故郷の里とは比べ物にならないくらいに木の葉の里は広い。すっかり復興し、人々も以前と同じような生活を送れているようだ。
「ネジ!ここの階段をどっちが早く降りれるかで勝負です!」
「悪いがオレはいまからヒナタ様の稽古を見なくてはならないんだ。先に帰らせてもらう」
「あっ、ネジ〜〜!」
「仕方ないわよ。リーも任務帰りなんだし、少し休んだら?」
「青春に休憩はありません!うおおおお!!!」
ズドン、という音に振り返ってみると、広場の入口で盛大に転んでいる緑色の少年が目に入る。
鎖羅は慌てて立ち上がり、腰のポーチから応急手当のキットを取り出した。