第15章 十五朝
付けた電気のスイッチを切り、ベット横にある大窓のカーテンを開ける。
月光は入らない。里の家庭の暖かい光が空を照らし、星の輝きを奪っていた。
鎖羅はベッドに沈む。
暗闇に目が慣れてもなお、部屋は暗いままだった。
ベランダから鎖羅の様子を伺っていた大きな影が地中に消える。
鎖羅はそれに気づかないまま、眠りに落ちた。
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硬い土の地面から、互い違いに組み合わさった緑色の葉がゆっくりと生えてくる。
ゼツだ。グパリと開くと、白ゼツが口角を上げながら話し始める。
「鎖羅、あんまり元気無さそうだったよ」
「写輪眼ノカカシガ修行ヲ付ケ始メタヨウダ」
「……そうか」
トビはおもむろに立ち上がると、外道魔像のすぐ側にかけてあった赤雲の外套を羽織る。橙色の仮面は多少落ち着いた色をしているが、まだ真新しい。
「あれれ、あんまり興味無い〜?」
「あいつの現状などどうでもいい。それより、輪廻眼回収に向かう。お前も準備しろ」
手袋をはめながら、僅かにゼツを振り向いた顔はケロイド化した繋ぎ目のような傷跡に覆われていた。
「ふーん。じゃああの後アジトで何が起こったとかも興味無い?結構面白い情報だと思ったんだけどなあ」
「…なんのつもりだ」
「別に?君が特に聞きたくないって言うなら言わないけど、あの子かなり酷い目にあってたよ」
トビは早足でゼツへ向かう。ニマニマと笑みを浮かべるゼツの頭を掴み、写輪眼で目を覗き込んだ。