第15章 十五朝
覗き込んだ瞬間、トビの脳内に次々と映像が流れこんでくる。
崩壊したアジトで、恰幅の良い男が何かを取り囲むようにして身を寄せあっていた。
(なんだ…?これは)
ゼツは男たちを後ろからしか録画していない。
聴覚からの情報を得ようと、トビは耳をすませる。
「あ…あ、あ、…、あ」
「なんだコイツ、処女じゃねーのか」
一人の男が立ち上がる。
ぱたぱたと白い液体が垂れた。その瞬間、隙間からくたびれた人形のように横たわっている肌色が見えた。
「…ッ!!」
「ああ、もう終わり?」
「お前、なんて、ものを」
思わず写輪眼を引っ込めたトビは、驚きを隠せずにバリバリと頭を掻く。だがゼツに聞かずとも、もう分かっていた。
「可哀想にね、鎖羅……。好きな君に裏切られた挙句、こんなことされるなんて……」
「やめろ、もう喋るな」
トビは深呼吸をし、仮面を付ける。
目に見える思ったような反応が得られなかったからか、ゼツはつまらなそうに外殻を閉じて潜っていった。
輪廻眼の回収が終われば、戦争の準備の第一段階は終了する。
心を波立たせてはいけない。計画だけに専念するのだ。
あの日誓ったんだ。もう一度、リンのいる世界を作ると。
「くだらない……」
トビは頭にこびりついて離れない鎖羅の笑顔を吐き捨てるように、アジトを後にした。