第15章 十五朝
術を出し終え、息を切らして座り込んだ鎖羅にカカシは近づく。体力ももう少し欲しいところだ。
「術の種類は戦闘向けだから、なるべく精度を高めながら二つ目の性質も使えるようになることを視野に入れていくか」
「あ、あと血継限界もあるんです。でもチャクラコントロールは関係ないので大丈夫ですかね?」
「そうね。」
カカシはメモを懐にしまう。
やることが山積みだ。でも、きっとこの子ならやり遂げられるはず。
「よし。じゃあスタンダードな特訓からいくとしますか。」
鎖羅は立ち上がり、緊張した面持ちでカカシを見つめる。
カカシは腰から、赤い組紐にぶら下がった銀色の鈴を取りだした。
──────────
「………ッ」
鎖羅は地面に膝をつく。後ろに捻り上げられた腕が離されると、肩を上下させながら虚ろな目で仰向けに倒れた。
これで何度目か。もう既に夜の帳は落ち始めていて、カカシは随分前に写輪眼の使用をやめていた。腰に引っかかっている鈴はひとつも汚れていない。いくつか危ない場面はあったが、最後の最後で鎖羅の詰めの甘さが出ていた。
「今日はこれで終わりにしようか」
そう言われ、悔しそうな顔をうかべる鎖羅の手を掴んで起こす。
「明日はオレちょっと朝に用事があるから、大体10時くらいにまたここにいてくれ。」
「わかりました…」
「まあまあ、鈴が取れなかった事ぐらいでそう落ち込むことはないよ。」
「でも、こんなんじゃ…」
「おっと。ネガティブな発言はよそうか。ま!最初のうちはこんなもんさ。だんだんコツをつかんでいけばいい。」
鎖羅はカカシと別れ、とぼとぼと用意された住まいへの道を歩いていく。
真っ暗な部屋の電気をつけると、蛍光灯の冷たく安っぽい光が更に孤独を強調させる。
今までのアジトの私室では月光がちょうど入り込む位置で、行灯は新月の時に付けるくらいだった。鎖羅にとって人工的な光は、新鮮でありながらもどこか排他的に感じるのだ。