第15章 十五朝
「えっと、つまりはお母様の膨大な量のチャクラを扱い切れるほど、チャクラコントロールには熟達してないってことで……」
「はい!」
「そんな、明るい笑顔で言われてもなあ……」
カカシは困り果て、量の多い銀髪を掻く。
困った。写輪眼で見ても確かに強大そうなチャクラを有していたんで、かなり身構えていたが肩透かしを食らってしまった。
「それを見かねて、サソリさんとデイダラさんが作ってくれたのがこの武器なんです」
鎖羅は丸太にかけてある、退院時に返されたリュックに手を入れ、二つのケースがついた長いベルトと、白いL字型の武器を取り出した。
「ああ、それ武器だったんだ。鎖羅が初めて木の葉に来た時に分析してみたんだけど、まるで用途が分からないって研究部がザワついてたんだよね」
「それもそうですよ。使えば使うほど使用者のチャクラの性質に馴染むので、他人が使おうとしてもこの武器はそれを拒んじゃうんですよね」
鎖羅は腰にベルトを巻き終えると、カカシに武器をひとつ手渡した。
おそらく握るべきであろう形状の部分を手で包む。そこからかくんと折れ、真っ直ぐにまた棒が伸びている。
「……ん?」
「手のひらにチャクラ込めるんです。あ、量とかは全然気にしなくて大丈夫ですよ」
カカシは言われた通り、手のひらに向けてチャクラを放出するようにした。すると静電気よりも強く広範囲な衝撃が手のひらに伝わった。カカシは反射的に武器から手を離す。
「いッ…!」
「ね?」
「す、すごいなこれは……写輪眼と違って奪われても安心だ……」
カカシは未だ痛む手のひらを擦り合わせる。
サソリと言えば、カラクリに関しては天才だったはずだ。あのフラットで飾り気のない造形には、確かに見覚えがある。