第2章 二夜
着いたのは大きな岩が崖にくい込んでいる場所。到底封印のために洞窟があるとは思えない。
「オイ、あんまうろちょろすんなよ」
デイダラが岩に手をかざすと、重そうなそれはいとも容易く軽々と上昇していく。
パラパラと欠片を落としながら開いた向こうには巨大な像が指を上に突き出していた。
これ程巨大では無かったがどことなく本殿のキセイ様の像を思わせる。
「来たか」
背後の岩が閉まる。指の上にぼうっと浮かび上がる虹色のシルエット以外の明かりはない。
サソリが巻物を開くと、ボヒュンと気絶している我愛羅が現れた。それを無造作にチャクラ糸で持ち上げて象の手のひらの中心へ持っていく。
「鎖羅はそこだ、左手の第五指」
デイダラに言われた通り、空いている場所へと登る。我愛羅の体は水色のオーラに包まれ、口や目から赤く帯が伸びていた。
「今から三日三晩はかかる。各々本体にも気を払うように」
「大蛇丸の代わりに鎖羅さんも入った事ですし、もっと早く終わりそうですがねえ」
「それは彼女の力量によるだろう。」
メンバーは印を結ぶ。
見様見真似で同じ様に結ぶと、我愛羅を纏うオーラはさらに大きくなり、帯は像に吸い込まれていった。
「オ……ア、ア…………」
「デイダラちゃんが終わったから……、次は俺たちか?二尾っつーのはよォ、何処にいるんだ?」
「それを探す所から始めるんだ、ついでに賞金首狩りも兼ねてな」
「うへェー、またあの小便臭いとこ行くのかよー!」
「飛段、集中しろ」
「へいへい」
我愛羅から出る赤い帯は未だ止まらない。
像の目が不気味に開いてきた頃、緑色の植物に身を包んだ男が口を開いた。
「強いチャクラを感じるよ、相当な手練のようだけど」
「九尾ノガキト木ノ葉ノカカシダ」
「そうか……。デイダラ、サソリ、鎖羅。ここから出る時は用心しろ」
「はいよ、リーダー」
その時、我愛羅の身体から出ていたオーラは消え、像の目は全て開ききって虹彩が爛々と光っていた。
「皆、ご苦労。三人がアジトに戻り次第三尾の封印にあたる。散!」
電源が落ちたような音と共に私達以外のシルエットは消える。
ドサリと落ちた我愛羅の体をデイダラさんは鳥に銜えさせた。