第14章 雷雨
「オレもね、何度も辛くなった時はあるよ」
「………」
鎖羅は言葉を待つ。
「色々失ったり、奪われたり、手放したりしてきて、時には奪う側にもなった。それでも、この歳になってやっと、傍で成長を見守りたいって存在が出来たんだ。」
「ナルトくんと、サスケくんと、サクラさん……」
「ご名答。だから、あいつらが目指しているものを、オレは辿り着けるように全力で支えたいし、道から外れそうになった時には死ぬ気で戻してやる。
そういう、決意って言うのかな。ミナト先生がオレたちに出来なかったこととリンとオビトがやるはずだったことを、オレは託されてる。今まで失った人たちから、託されてるんだ。」
カカシの目は次第に綻んでいく。
「そう思うとね、自然と生きる力って湧いてくるもんよ。今は鎖羅には湧いてこなくても、オレがその手助けしてやれればいいかなって」
「……カカシ、さん」
鎖羅の頭に、暁の仲間たちの顔が浮かんでは消える。
あの時リーダーに託された暁。今となってはもう、私一人だけ。
生きていれば、戦争にも加わっていたはずだ。みんなで、平和を勝ち取るために命を懸けていたに違いないのだ。
確かに私は何もかも守れなかった。
でも、だからといって忍をやめていい理由になんてならない。
リーダーから託された暁を、仲間たちが成しえなかった平和への道を、この手で奪ってきた命も、奪われた命も、私がかなぐり捨ててはならないのだ。諦めてはならないのだ。