第14章 雷雨
鎖羅はオブジェのような大きな墓石に顔を近づける。
公用語で、『神無毘橋の戦い』と彫られている。
「……うちは、オビト……うちはの方が班員だったんですね」
「そ。確か12歳くらいの頃だったかな。イタチの系列では無かったみたいだけど」
イタチさんはうちはの中でも直系で、当時の族長一家の長兄だったと聞いている。
うちは一族は私たち夢見一族のように、同じ血族同士で固まって暮らしていたと思っていたが、カカシさんの口ぶりからしてこのうちはオビトという方は違う派閥にいたのだろうか。
なんにせよ、うちはと言ったらサスケくんやイタチさんのようにさぞかし強い忍だったのだろう。
「……すみません、さっきは取り乱してしまって」
「いいのいいの。オレも、分かるからさ。」
吹いた風が墓前の花を揺らす。
鎖羅はただその揺れる様子を見つめるカカシを見て、口をどもらせた。
「あ、あの…」
「ん?」
「カカシさんは、どうして忍を続けられたんですか?私は……私は、忍者をやめたいと思ってばかりで……」
「うーん……」
カカシはふさふさした芝生の上に腰を下ろす。
鎖羅もそれに倣って、膝を抱えた。