第14章 雷雨
カカシは木の葉病院へ向かい、一旦休憩室に入った。
人が座りすっかりくたびれて柔らかくなったソファに腰掛け、書類を取り出す。
一ページ目は、鎖羅の経歴。なにも変わりなく、ビンゴブックの補足に載っているものの転用であるようだ。
問題は二ページ目以降であった。
『先日発生した旧修練の谷襲撃事件、併せて雨隠れ最高指導者殺害の関係性はかなり深いと推測される。』
雨隠れ指導者と言ったら、自来也先生の元弟子の小南だ。それに旧修練の谷は暁のアジトとして再利用されていた。
(そうか…だからあの時火影様は)
更に読み進める。
『生き残った暁構成員である、“忍登録番号:不明鎖羅”(以下甲)からは回復次第事件詳細を伺う予定である。補足:犯人については未だ不明。甲は質問に対して黙秘したり、答えることを躊躇うような素振りを見せた。』
カカシは疑問が解決していき次第に安堵する。
だが、書類はまだここで終わっていなかった。
『発生日不明 犯人グループ不明 甲が崩壊した旧修練の谷にて発見、保護された。およそ見積っても1〜2週間ほど現場に取り残され、数日間強姦被害に遭っていたと思われる。』
カカシの手から書類が滑り落ちた。
リノリウムの床に手を伸ばし、拾おうとするも脳を殴られたような衝撃は収まらない。
『以下にて甲の身体被害を記す。……』
怪我についての詳細を読むだけでも、吐き気が込み上げてくる。
あの時鎖羅と話した時の表情や声を思い出す。
あどけない少女が、同年代のサクラたちよりも世間知らずで幼く見えるあの少女が……