第14章 雷雨
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「なんですって!」
火影の執務室にカカシの声が響く。
黒い三白眼は致し方なさそうな表情を浮かべる綱手を見つめている。
「そんな……戦争だなんて」
「お前も荒れに荒れた五影会談の話は聞いただろう。例の…仮面の男だ」
「じゃ、じゃあ、サスケ奪還任務は!」
「中止だ。他の里と忍連合軍の編成に向け、ナルトには九尾チャクラの修行へ向かってもらう。」
綱手は机上の書簡を広げ、印を押す。
カカシは綱手の言葉を噛み砕き、腹の底に沈んだ後に抗議するように詰め寄った。
「ナルトを……ナルトを前線へ当てる気ですか!?そんなの危険すぎる!」
「もうアイツは子供ではない!第一、危険な事がないように修行へ向かわせるんだ!」
カカシは一歩引き、冷静になる。
綱手の言う通り、ナルトは十分に力をつけている。子供として見るべきでは無いのは分かっている。
「……戦争の事はナルトには言わない。」
「修行はどこで?」
「雷の国方面にある島亀とやらだ。雷影の弟と共に修行させる。」
「八尾、か……わかりました、俺も準備しておきます」
「待て、待てカカシ。今回はお前には外れてもらう。」
「な……ええ?!」
綱手は立ち上がり、クリップでまとめられた紙束をカカシに押し付けた。
戸惑いながらも目を通すと、その紙束は病院で看護師の間で使用されているカルテだった。