第14章 雷雨
「茶番は要らない。要件を早く話せ。」
「良いだろう。単刀直入に言う。」
カブトは手のひらを打ち合わせた。
なにかしかけてくると分かると、サスケは腰に指したチャクラ刀に手をかけ、重吾はまたもや三人の前へ腕を翳した。
硬い地表が盛り上がり、トビとカブトの背後から勢い良く木の棺のような箱がいくつも飛び出してきた。
「な、何…?」
香燐は眼鏡をクイと上げながら、舞った砂埃に目を凝らす。木の乾いた音が響いた。ぼうっと人間のシルエットが浮かぶ。
「今はまだ暁のみだが…これから歴代の人柱力や各里の列強を揃えていくつもりだ。」
「お、おいサスケ!あれって…!」
香燐が指さした先には、土気色の肌をしたサスケの兄、イタチが棺の中で立っていた。
しかし、以前あの少女に生き返らせた姿とは違い、眼球は黒ずんでどこを見ているのかも分からない。
「……穢土転生、穢土から死者を呼び戻す二代目火影の編み出した禁術さ。」
「死者…?!」
香燐はカブトとサスケを交互に見やる。以前会った時には確実に生きていたし、サスケからはなにやら特殊な術を使って生き返らせたと聞いていた。
それに、身柄が国家から保護されていた暁がいるのもおかしい。穢土ということは既に死んでいるという意味になる。
「サスケには伝えておいたが…イタチは長らく不治の病に侵されていた。進行は著しく既に手の負えない状態で、あの後直ぐに逝ったのだよ…」
びゅう、と風が吹いた。
呆気に取られている香燐達とは違い、サスケは静かに目を閉じる。
もちろん、トビの言ったことは事実だ。
あの術でも直せなかった不治の病により、先が短いことはよく分かっていた。
「それで、そいつらをどうする」
「サスケ……」
「話が早くて助かるな。俺達はこの穢土転生体を集め、戦争を仕掛ける。」
トビは手を広げる。戦争という言葉にサスケも僅かながら焦りを見せていた。