第2章 二夜
「水遁、水龍弾!」
龍の形を模した水柱が三尾へと襲いかかる。身体の周りをグルグルと天へ登るように回り、甲羅に体を打ち付けていく。だが、身を捩らせただけであまり効いているようには見えなかった。
「あ……ッ」
鋭く伸びた爪が頭上にかざされる。咄嗟に霧化の術で霧散した。
突然鎖羅が消え、三尾は何が起こったか分からないかのようにキョロキョロとしている。
(知能は……それほどみたいだ)
眼前に凝結し、三尾の目を見る。
「この目……幻術?」
どこか目付きがぼんやりとしているような気がした。もしかしたらどこか抜けているような気がするのもそのせいかもしれない。
「水遁、豪水腕の術!」
腕に水分を集めて筋肉を強化する。両手を大きく振りかぶって三尾の額を殴った。
腹の底にまで響くような断末魔が湖に響く。水面はその音波で波紋を作り、空中で超音波の影響を受けてしまい、天地の区別がつかなくなり身体のバランスを崩した。
「ッハァ、ハァ、だ、だめ………」
先程の術の影響でチャクラを練るのが間に合わず、水面に打ち付けられ水中に沈んでいく。
太陽の光を受けて煌めく水面に赤髪を見て意識を失った。