第2章 二夜
飛ばされそうなほどの風に耐えながら下の湖を見下ろす。三尾と呼ばれる尾獣というものが居そうな雰囲気には見えないほど静かな流れだ。
「さて、ここら辺でいいか、うん。」
デイダラはそう言うと、握っていた手を開いて何かを放り投げた。それは印を結ぶとたちまち大きくなり、湖へと落下していく。
「喝ッ!!」
水中で爆発したようだ。ここまで届くほどの水柱と突起をいくつか生やした灰色の甲羅を纏った亀のような尾獣が劈くような鳴き声と共に姿を現す。
蠢く三本の尾が私達の乗っている鳥を叩き落とそうとしたが、ひゅうと旋回して右手の森へと降りていく。
「鎖羅、お前一人で行け。うん」
「え、っ」
「ずっと故郷の里で忍達相手に修行してきたんだろ?その力を見せてくれよ」
デイダラはそう言うと森のどこかへと消えていき、サソリはヒルコを脱いだ。
尾獣だという存在すら今まで知らなかった。軽い島程もあるこの獣、人間相手とは訳が違う……。
傀儡の仕込みを始めたサソリに背を向けて三尾を見上げる。湖だったのが幸運だったかもしれない。
(足の裏にチャクラを集中させて……、力を反発させるように………)
恐る恐る湖の上に立つ。里の水流は乾涸びてしまっていたので水上歩行の練習は出来なかったから少し不安だ。
「よし、立てた……」
これほどの巨大な敵ならば私のコントロール力で血継限界を使うことは不可能だ、ならば……