第13章 夕立
「こんな開けたところに根城を置いてちゃあだめじゃないか」
「もう暁は、いない。……私を殺したってなにも得ることなんて出来ない!」
「殺す?殺しゃあしない」
浅黒い肌に顔面に大きく手のひらの戦化粧を入れた忍が鎖羅の外套の襟元に手をかけた。
そして、勢いよく左右へ引きちぎる。バツンバツンとスナップボタンは外れ、濡れた忍装束によってボディラインがくっきりと顕になっている。
「い、いやッ!」
「どうせお前一人殺したってなあ、一両も入らないんだよ」
「俺たちはこれから更に勢力を増し、人員を増やしていく。士気を挙げるためにも、慰みは必要だろう?」
「ッんな…!誰が屈するか!!」
右頬に激痛が走る。力強く拳で殴られ、鎖羅の体は大きく揺れた。
また一人の忍は、脳が揺れて起き上がることが出来ない鎖羅の外套を引き剥がす。
「アハハハ!!お前一人に何が守れる!?」
「こんな外套………もう怖くねぇぞ!」
「やめて、やめてェッ!」
「ははは、脱がせ脱がせ!!」
「暴れんな!!」
鋭いクナイがビリビリと忍装束を引き裂いていく。抵抗すればするほど、鎖羅の身体には痛々しい切り傷と打撲痕が出来ていった。
天井は開けているはずなのに、仰向けに倒れた鎖羅からは空が見えない。ただ見えるのは肌を晒した鎖羅を、嫌らしく口を歪ませ、ギラギラと開いた瞳孔で見下ろす大勢の男達の顔のみ。
「たすけて、…たすけて……」
か細い声は誰にも届くことは無い。
かつて愛した彼とは違う剥き出しの欲に、鎖羅は蹂躙されることになる。
ついに、鎖羅は穿たれた。
「いやぁあぁぁぁぁッッ······───」