• テキストサイズ

邯鄲の夢【NARUTO】

第13章 夕立




デイダラは激痛を感じながらも、急に陰ったので僅かに顔を上げる。
見えたのは、黒く変色した目で見下ろす相棒、サソリ。

「は、っ、はぁ…ッ」

もう何も出来ない。諦めるなんてオイラらしくない。そう思っても、もう体は動かない。情けない。こんな最後だなんて認めたくない。

(せめて、鎖羅に、なにかを……)

震える手が数回握られると、力なく垂れ下がった舌から小さな蝶が吐き出された。

「遺、作か……は……はは……」

フラフラと飛んで行ったのを見送ると、デイダラはぐたりと頭を下げた。そしてもう二度と、動くことは無かった。



──────────


鎖羅の血の気が一気に引く。
脳裏に浮かんだのはあの場を任せたメンバー達の顔。
もう…サソリさんとイタチさんは死んでしまっているかもしれない、いや、死んでいる。

「あの時センパイの血、頂いたんでね……あでも、もう術は使えないッスよ流石に」

「そ、んな……」

「ハハ。あのまま安らかに死なせておけばよかったものを。センパイが生き返らせちゃったせいでこうなったんすよ?」

トビは目を弧に歪ませ、鎖羅の髪を引っ掴んで瓦礫へと投げた。その拍子に小南から貰った髪飾りが水の上に飛んでいく。

「あ〜あ……小南さんもこんな弱い人の事守ろうとしちゃって」

鎖羅は立ち上がろうと腕を立てるが、全身に襲った痛みにまた崩れ落ちた。パシャパシャと水の跳ねる音がする。トビはもう既に、鎖羅から離れて歩き出していた。


/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp