第13章 夕立
「角都ッ、角都……!!」
術式は飛段にも及ぶ。
既に震えが止まっている角都に声をかけることに気を取られ、気づいていない。
「オイ、飛段!!」
「か、かく、かく……ず…………」
飛段の右半身は塵芥に覆われていく。次第に口内まで侵入していったそれは、最後まで相方の名を呼び続けた声を飲み込んでいった。
「彼は特殊な体質みたいだからね。生贄にさせてもらったよ。個人情報物質はもう採取済みだからまた後で会うことになるんじゃないかなあ?」
「ッ、ハハハ!それで…?次はオイラか?どうする気だよ、なあ?」
カブトは体ひとつ揺らさず、滑らかにデイダラへと近づいた。好戦的な碧眼を見下ろす。
「若さは強さだね……僕もそう思うよ。仲間の死は君にとってはスパイスではなかったかな?」
「オイラを誰だと思ってる?ここに居ることを決意した時から、死なんざ恐れてねぇよ、うん!」
カブトは小さいえづきに、デイダラの手もとを見やった。てらてらと光った舌に、白い粘土が乗っている。
「まずい───ッ!」
黄色い光の後、アジトの共同部屋は爆発によって日に晒された。パチパチと木が燃え、天井が崩れ落ちる。それをかき分け、カブトは上裸になったデイダラを睨んだ。