第13章 夕立
「穢土転生の術!」
カブトが地面に手を当てる。
瞬く間に広がった術式が、サソリとイタチへ向かっていった。そして、カブトの袖から這い出た大蛇が死体を飲み込む。
デイダラ達は為す術もなく、地中から生えたゼツに捕まってしまった。手首を流動性のある何かで後ろにまとめられ、抜け出すことは叶わない。
「ッく、っそォ……!」
術式の中に膝立ちになったゼツに段々と塵芥がまとわりついていく。すると、塵芥はそれぞれサソリとイタチを象り、やがて本人そのものの姿になった。
「な……ッ?!」
「……穢土転生か…二代目火影が禁術にしたはずだが……」
「二代目ェ?!そりゃあー……何年前だ?!」
「いつに指定されたかは知らん。だとしても90年前は確実だ」
なぜそんな前の時代の術を、こんな若い小僧が使っているのか。
そう考える間も無く、四人は急激に身体が脱力する感覚に襲われる。チャクラを抜かれている。拘束具に仕掛けがあるようだ。
「ッあ……ぅ」
「角都ゥ……!」
「て、ッ〜〜〜めェ………!」
飛段は地に伏せる角都に顔を向けた。その瞬間、目を見開く。背後のゼツは体を食中動物の様に開き、その鋭利な棘を角都の背中に突き立てようとしていた。
二度目の、相方の死。
吹き出した血は外套から染みだし、大きな血溜まりを作る。失われていく血に、角都は顔を下げたままガクガクと震え出した。