第12章 十二朝
「ッ、ハァ、ハァ……ッ」
ひたすら足を動かし、雨隠れへと走る。
チャクラコントロールに気をかけている暇などない。木の枝を伝い、次の枝へと足をかけた瞬間に地面へ真っ逆さまに落ちる。
「ぐ、ぁ、……」
左肩に鈍痛が広がった。肩の関節が外れている。
受け身すらも取れないとは。
鎖羅は動く度に走る耐え難い痛みに冷静を取り戻しながら、足を滑らせた木の枝に飛び乗った。
止まっている場合ではない。
一刻も早く小南さんに伝えて、トビさんも連れ戻さなくては。
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何キロ進んだのだろうか。
幾度も転んだお陰で外套はボロボロに汚れ、顔にも傷が及んでいる。
肩の脱臼をかばいながら雨隠れの最奥、小南さんがよく里を一望している部屋へと進んでいく。
リーダーが死んでから雨は止んだと聞いていたが、先程から降り続いている大雨で水位は上昇し、警告を示す赤い旗が上がっている。
避難勧告を出されているのか、警備を除いて住民は一人としていなかった。
部屋に小南さんは居なかった。
壁一つ抜かれた窓からオブジェの舌が垂れ下がっている。ここによくリーダーと小南さんが居た。