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邯鄲の夢【NARUTO】

第12章 十二朝



「……!」

舌に立ち、眩むほどの高さから地上を見下ろすと、雨隠れのすぐ横に広がっている海の上に人影が見えた。

飛び降りて、足裏にチャクラを込める。
バシャバシャと水を跳ねさせながら人影へと向かっていく。

細かい雨に遮られる視界が鮮明になっていく度、自分の目を疑う。
朝から悪い夢を見ているのではないかと思ってしまうほど、信じ難い光景だ。


「トビ、さん……?」

トビさんなのだろうか。赤雲を纏った外套は確かに暁である証だ。右肩は弾け飛んだように破れ、馴染みのある黒いインナーに包まれた、しなやかで逞しい筋肉が見えている。

小南さんは……?
目を凝らすと、その“男”は左腕で何かを抱えていた。力なく垂れ下がった服、絹のような藤色の髪。

足元に白い何かが当たる。
目をやると、薄汚れ何枚か解けた花のコサージュが水の上を流れていた。


振り向いた男の目に、確かに見覚えがあった。
あの夜、私を愛しく見つめていた目。
その赤くて、引き込まれてしまいそうな目に見つめられる度に、私は身体の力が全て抜けてしまうほど蕩けてしまうのに………


「……どうして?」



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